食復興へ施設建設の動き加速 宮城県内各地

◎石巻・水産物/新魚市場から世界へ
 東日本大震災で被災し、再建される宮城県石巻市の石巻魚市場の安全祈願祭が16日、同市魚町2丁目の建設予定地の工事事務所であった。2014年夏に一部利用を開始し、15年6月に完成の予定。
 新たな魚市場は鉄骨一部4階、延べ床面積約4万7000平方メートル。水産物の鮮度を維持するため、高度衛生管理システムを導入する。荷さばき場も大型巻き網船や定置網船といった漁法ごとに分け、水揚げの効率化を図る。
 祈願祭には亀山紘市長や運営会社である石巻魚市場の須能邦雄社長ら約60人が出席し、早期完成や工事の安全を願った。
 亀山市長は「魚市場は石巻の基幹産業の中核施設で、海外マーケットに通用する産地市場を目指している。水産業界や市民の期待も大きく、復興への活力となる」と述べた。
◎白石・チンゲンサイ/被災農家も栽培
 白石市は、同市白川内親有合にチンゲンサイの集荷・出荷施設を整備する。16日に開かれた市議会臨時会で関連議案が可決された。本年度内の完成を見込む。
 施設は東日本大震災の津波で被災した名取市の農家5人を中心に、白石市内でチンゲンサイ作りに取り組む蔵王グリーンファーム(白石市)が袋詰めなどの作業場として利用する。
 施設は敷地面積約7030平方メートル。木造平屋約650平方メートルの集荷・出荷施設と休憩施設の2棟を建てる。総工費は2億3415万円で、国の復興交付金を活用する。
 蔵王グリーンファームは震災後、白石市内の深谷地区にハウス122棟、白川地区に160棟を建て、チンゲンサイ作りに取り組んでいる。市産業部の担当者は「栽培技術が伝承され、ゆくゆくは白石の特産品になってほしい」と話した。
◎亘理・イチゴ/選果場で高品質
 亘理町は16日、東日本大震災の復興事業として同町の浜吉田いちご団地内に整備中の新しいイチゴ選果場をみやぎ亘理農協に無償貸与し、管理運営を任せる契約を両者で交わした。
 町役場で斎藤邦男町長と同農協の岩佐国男組合長が、施設を貸与して15年後に譲渡するとした契約書に調印した。斎藤町長は「イチゴの再生なくして亘理の復興はない」と強調。岩佐組合長は「全国からの支援に恩返しするため、より品質の高いイチゴを出荷したい」と語った。
 沿岸部にあった旧選果場は震災の津波で全壊。町は業務効率化のため、同様に被害を受けた山元町の施設と集約し、国の復興交付金約9億円を活用して4月から整備を進めている。新選果場は鉄骨1階の約3600平方メートル。農家から荷受けしたイチゴの検査ラインや冷蔵施設などがある。
 現地で25日、完工祝賀会を行う。集荷は11月上旬に始まる見込みで、両町のいちご団地の参加農家や自力再建した約220戸が利用する。

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