食材虚偽表示問題

全国各地のホテルや百貨店で相次ぐ食材虚偽表示問題を受け、消費者庁が外食店のメニュー表示について規制するために食品表示法の中に盛り込む方向で検討していることが7日、同庁への取材で分かった。加工食品や生鮮食品の表示については、日本農林規格(JAS)法で品種や産地などを示すよう規制されているが、外食の表示については対象外だった。食品表示法に盛り込まれれば初めての規制となる。
 同庁によると、外食産業に求めるのは、アレルギー物質を含む食材を明記するなど、安全性に関する表示や産地・品質の表示など。
 これまでこうした規制がなかったことについて、同庁幹部は「対面販売なので、その場で原産地などについて店員に尋ねれば分かると考えていた」と説明した。
 しかし、阪急阪神ホテルズ(大阪市)の虚偽表示問題をきっかけに、ホテルや百貨店に入るレストランなどで相次いで実際の食材とは異なるメニュー表示があったことが判明し、外食のメニュー表示を規制する必要があると判断した。
 消費者庁は、平成23年3月に加工肉を「ステーキ」とメニュー表示して客に提供していた岡山市の飲食店に対し、景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして措置命令を出したのを機に、ホームページで加工肉料理に関する問答形式の指針を公表するなど、同法の周知を図ってきた。
 しかし今回、牛脂を注入した加工肉を「ステーキ」などと偽るケースが相次ぎ、ホームページなどでの注意喚起が浸透していないことが明らかになった。こうした状況も法律での規制に傾いた背景となった。
 消費者庁は今後、食品表示法に関する議論のスピードアップを図り、一連の虚偽表示問題の再発防止に対応したい考え。また、食品表示法がJAS法など3つの法律を一元化して施行されるのは、27年6月までと間があるため、あらかじめこの3法のいずれかに外食のメニュー表示の規制を盛り込むことなども検討しているという。
 相次ぐ虚偽表示問題を受け、菅義偉(すが・よしひで)官房長官は7日、「国民の信頼を大きく損なっており、政府を挙げて対応する」と述べ、消費者庁に、関係省庁を集めた緊急会議を開催するよう指示したことを明らかにした。

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