食物アレルギー、なぜか大変に多い北海道の子

 北海道内の食物アレルギーを持つ子供は全国平均を大きく上回っていることが6日、道教育委員会がまとめた「学校における食物アレルギー対応の進め方」(素案)でわかった。
 素案は学校給食で児童・生徒がアレルギー症状を起こした際の適切な対応や予防策を示し、校長をトップとした校内委員会を設置して取り組みを進めるよう求めている。今月下旬に正式決定して各市町村教委と学校に配布する。
 素案には日本学校保健会などの調査結果を掲載。それによると、道内で食物アレルギーをもつ子供の割合は2013年度、小学校が04年度比1・87倍の7・7%(全国4・5%)、中学校が同2・02倍の8・5%(全国4・7%)に増えた。
 文部科学省が07年にまとめた「アレルギー疾患に関する調査研究報告書」ではシラカバ花粉と似た成分を持つリンゴなどの果物に対するアレルギーや魚介類のアレルギーが患者の総数を増やしている可能性が指摘されているが、道教委は「道内が多い理由はわからない」としている。
 素案では、短時間で重篤となるショック症状「アナフィラキシー」など子供の具合が悪くなった場合、応援を呼んで目を離さず、緊急性の有無を5分以内に判断すべきだとした。「意識がもうろう」などの症状が見られる場合、直ちに119番通報し、ショック症状を緩和する注射薬「エピペン」を持っている子供にはすぐに注射するよう求めた。素案作りに関わった小児科医の三戸和昭・道医師会常任理事は「熱心な教職員だけでなく、各教委や学校で組織的に対応を進めることが重要だ」と指摘している。
 道教委によると、道内のアレルギーによる死亡事故は1988年に札幌市の小6男児が給食のソバを食べた後に具合が悪くなり、下校途中に吐いた物を詰まらせた事故以降、発生していない。ただ、札幌市の小中学校では2010年4月以降、小麦アレルギーを持つ小4児童の食材の確認を担任が怠るなどし、8人が救急搬送された。昨年度は、千歳市立保育所で給食の誤配膳が原因で男児が入院し、アレルギーの自覚がなかった旭川市の小5児童がカシューナッツを食べた直後にショック症状を起こして入院するケースもあった。
 道教委が共催し、札幌市で4日に開かれたアレルギー対応の研修会には約600人の教職員が参加、エピペンの打ち方などを学んだ。

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