餅つき実演1000回、9月にも達成 岩手・一関の「振舞隊」

 餅を食文化として地域おこしに取り組む岩手県一関市に、餅つきの実演で全国を飛び回る団体がある。市民有志の「祝い餅つき振舞隊(ふるまいたい)」。活動を始めてことしで20周年で、実演は間もなく1000回に達する。発足当初から隊長を務める同市真柴、農業岩渕一美さん(67)は「喜んでもらえるのが、やりがい」と、餅を頬張る笑顔を励みに活動を続ける。
 法被をまとった隊員が、民謡の「県南餅つき唄」「ソーラン節」、子ども向けイベントでは童謡の「ぞうさん」「チューリップ」を歌い、軽妙なしゃべりも交え、祝儀で使われる千本杵(きね)でリズミカルに餅をつく。
 実演はつき手3人にこねる役、歌い手各1人の5人一組で行う。振舞隊は1994年6月に発足し現在、一関民謡保存会の会員ら58~73歳の12人がメンバー。青森から沖縄まで全国のイベントに出向いて餅をつき振る舞い、一関の餅食文化をアピールする。
 材料費や交通費、若干の手間賃を受け取るが「半ばボランティアのようなもの」(岩渕隊長)。福祉施設での活動は持ち出しになることも多い。震災直後は被災者を励まそうと、手弁当で陸前高田、大船渡、気仙沼各市などで餅をついた。
 出演が一度限りで終わらないのが隊の自慢。2度、3度と依頼される。「また出てくれと頼まれるよう、汗水垂らし懸命に餅をついて、と隊員に話している」と岩渕隊長は言う。
 実演は月に4、5回ある。一関市で5月30日にあったイベントで累計981回になった。9月にも到達する1000回を目前に6月21日、関係者に感謝する「祝いもちつき振舞隊20周年 1000回記念」を同市総合体育館で開く。餅をつき、無料で振る舞う。
 岩渕隊長は「良かった、楽しかったと言ってもらえれば」との思いで杵を握る。

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