首都圏マンション発売戸数、5年ぶり増 金利低下で需要拡大

 不動産経済研究所(東京・新宿)が14日発表したマンション市場動向によると、2009年度上期(4~9月期)の首都圏の新規発売戸数は、05年度上期以来5年ぶりに前年同期を上回った。住宅ローン金利の低下などで、消費者の購入意欲が高まってきたことが背景にある。ただ5年前と比べると供給水準は低く、人気物件も都心部に集中している。
 4~9月の累計発売戸数は2万1702戸と前年同期比24.5%増となった。9月単月でも前年同月比3.9%増の3183戸と8カ月連続で前年水準を上回った。
 けん引しているのが住宅取得に関する優遇政策だ。住宅金融支援機構/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3E5E5E2EBE2E3E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NXは省エネ性や耐震性能に優れた住宅を対象に金利を当初10年間優遇する住宅ローン「フラット35」を導入している。「制度の認知度向上とともに、対象住宅を購入しようとする消費者が増加している」(野村不動産)。
 住宅資金向け贈与の非課税枠拡大も影響している。10年に限り通常の500万円から1500万円に拡大しているため利用する購入者が多いもようだ。「20代や30代の消費者が従来は手が届かなかった高額の物件を買う」(大手不動産)ケースもみられるという。
 このため発売月に契約が成立する住戸の割合は4~9月平均で78.7%と前年同期比7.7ポイント上昇、好不調の分かれ目とされる70%を大きく上回った。販売在庫も9月末時点で4722戸と5年ぶりの低水準となっている。
 ただ、こうした傾向は都心部に限られる。千葉県の4~9月発売戸数は2181戸と7.3%減少。埼玉県も2511戸と10.9%増にとどまった。08年以降、郊外で割安なマンションを開発する中小デベロッパーの多くが経営破綻したことが影響しているという。
 中堅デベロッパー、日神不動産の神山和郎会長兼社長は「消費者の立地条件に対する要求が以前より厳しく、首都圏中心部で駅から徒歩10分以内の立地でないと人気が出にくい」と話す。大手は利幅がより大きな都心部に開発対象を絞っており、郊外の市場回復はさらに時間を要しそうだ。
 近畿圏の4~9月は1万1306戸と31.3%増加した。大阪府や神戸市などで大手業者が大型物件を発売したことが寄与した。

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