宇宙ごみの除去技術の開発研究に取り組む香川大学工学部(高松市)が開発した超小型衛星「STARS-II」が2月28日、日本の主力大型ロケット「H-IIAロケット」23号機に搭載されて打ち上げられる。研究チームの能見公博准教授は21日、「STARS-II」を報道機関に公開し、「次のステップへの大きなカギとなる実験。ぜひ、成功させたい」と話した。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の発表によると、全球降水観測(GPM)計画の主衛星打ち上げを利用し、「STARS-II」など7大学の小型副衛星を軌道投入する。
同大の研究は、宇宙ごみをロボット衛星でキャッチして燃え尽きる大気圏まで落下させる方法。衛星の軌道変換が不可欠となる。
「STARS-II」は親機と子機(いずれも16センチ四方)で構成。宇宙で親・子機間に長さ300メートルの導電性テザーと呼ばれるケーブル(直径1ミリ以下)を伸ばし、地磁場を横切ることで電流を発生させるのが今回の主な実験内容。燃料を使わなくてもロボット衛星の軌道変換が可能という。
長いテザーを宇宙空間に伸ばす実験は国内の研究機関では初めて。効率的に電流を発生する新テザーによる実験は世界初という。
同大学の超小型衛星が宇宙をフライトするのは平成21年度の「KUKAI」に続いて2回目。高度403キロの軌道に放出された段階で愛称を「GENNAI」とする。導電性テザーを伸ばすなどの指令は同学部の管制室で行う。テザーを伸ばす瞬間の映像も受信することにしている。
能見准教授は「なかなか宇宙産業は育っていかないが、大学の衛星ができて裾野が広がっている。宇宙技術は地上でも利用できる。企業も参加して将来に生かしてほしい」と話した。
地球の軌道上には古い衛星など数万個の宇宙ごみがあり、除去が世界的な課題となっている。