文部科学省は5日、2016年度にも全面改定する学習指導要領の方向性を示す骨格案を明らかにした。
高校の新たな必修科目として、日本と世界の近現代史を合わせて学ぶ「歴史総合」や、選挙権年齢の18歳引き下げを踏まえ社会参画に必要な知識を学ぶ「公共」を導入することが柱。小学3年からの外国語活動など英語力向上も打ち出した。
詳細は中央教育審議会が教科や学校種ごとに検討し、16年度中にも答申する。新指導要領に基づく授業開始は小学校が20年度、中学が21年度、高校が22年度からの見通し。
骨格案は、今回の改定で「脱ゆとり」とされる現行指導要領の路線を継続しつつ、根拠立てて考えを述べる力や子供の自信育成など残る課題を克服するとし た。暗記だけでなく知識の活用を重視し、子供の意欲を伸ばす学びへの転換を掲げた。小中では小学英語以外に大きな変更はないが、高校は必修科目などを抜本 的に見直す。
高校は現在、世界史が必修で日本史と地理は選択履修。日本史の必修化を求める声もあったが、日本と世界の近現代史を関連付けて教え、歴史の転換点や見方を考察することに重点を置く新科目を必修にした。世界史は必修としない方針。
地理も、位置情報などをコンピューター解析する地理情報システムの活用などを通じて、環境や防災などの課題解決を目指す「地理総合」を新たに必修とする。
「公共」は主権者教育や消費者教育、倫理などを含み、主体的に社会に参画する意欲や必要な知識を学ぶ。社会的自立に向け、キャリア教育の中核的時間と位置付けた。
このほか、数学と理科では両方の知識を合わせて思考力を育む選択科目「数理探求」を新設。国語や英語も、表現力や興味を高めるため必修と選択の範囲の見直しが必要とした。
小学校の英語は3、4年が年間35コマ(1コマ45分)、5、6年が同70コマ。高学年では英単語など「読む・書く」の技能も学ぶ。授業時間を確保するため、毎日15分程度に分けた実施についても検討し年内に結論を出すとした。