高校総体後に解任動議 日本ボクシング連盟が山根会長を追放へ

底なしの疑惑に揺れる日本ボクシング連盟が、渦中の山根明会長(78)を解任する方向で準備を進めていることが分かった。岐阜市で行われているインターハイ後(7日に競技終了)にも緊急理事会を招集し、解任動議を出すというのである。日刊ゲンダイの取材に連盟関係者は、「後任には副会長で専務理事の吉森さん(照夫氏=弁護士)を推すことになると思う」と言った。

都道府県連盟幹部ら333人から告発された山根会長は、助成金の不正流用以外の疑惑を完全否定。メディアの取材に応じては、声を大にして身の潔白を訴えている。自身の進退についても「なんで辞めなきゃいけないんだ。悪いことはしていない。進退なんて考えていない!」と強気に繰り返しているが、これには“忖度族”が幅を利かせる連盟サイドもさすがに頭を抱えているという。

■連盟の心証がどんどん悪く

一方的に持論をまくし立てるだけのメディアへの対応を見れば分かるように、山根会長は理路整然と冷静に話ができるタイプではない。自分で自分を「カリスマ山根」と呼び、自身のSNSで“退陣要求”した2012年ロンドン五輪金メダリストでWBA世界王者の村田諒太に関しては、「生意気だ。わしが金メダルを取らせた」と放言。対立する関係者を「前科者」と罵り、揚げ句の果てには反社会勢力との関係まで露見した。山根会長は、「正式な杯はもらっていない」と暴力団構成員だったことは否定しているものの、元山口組系暴力団組長との“黒い交際”については「50年以上の付き合い」と認めてしまう。色つき眼鏡をかけ、白髪をオールバックになでつけた迫力ある風貌とあいまって、テレビに出れば出るほど、メディアに話せば話すほど、会長自身はもちろん、連盟に対する心証も著しく悪くなっているのは確かだ。

一連の騒動は2年後に東京五輪を控えた日本オリンピック委員会(JOC)、スポーツ庁なども問題視。鈴木五輪担当相は暴力団組長との交友を「論外」と切り捨てている。そうでなくてもボクシングは、日本連盟の上部組織にあたる国際ボクシング協会のガバナンス問題で、国際オリンピック委員会(IOC)からいまだ競技実施を認められていない。五輪種目から外される可能性が高まっている中で、開催国の連盟に発覚した今回の未曽有のスキャンダルと制御不能に陥った山根会長の暴走は、KOパンチになり得る。

連盟もドンの切り捨てに動かざるを得ないということだろう。が、現在の連盟幹部のほとんどが山根派で、彼らの忖度が山根会長を増長させ、結果的に恐怖支配体制の構築に加担した。後任会長がそんな現幹部からの昇格で果たしていいのか。理解を得られるとは思えない。

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