警察庁は30日、新東名高速道路と東北自動車道の一部区間で3月1日から、試験的に最高速度を時速120キロに引き上げると発表した。最低でも1年間は続けて、事故の発生や車の走行速度を分析し、他路線でも引き上げを検討する。高速道路が開通した1963年以降、最高速度が120キロとなるのは初めて。
対象区間は、新東名の新静岡―森掛川インターチェンジ間(約50キロ)、東北道の花巻南―盛岡南インターチェンジ間(約27キロ)のそれぞれ上下線。車道の幅が広くてカーブや勾配が少なく、120キロでも安全に走れる設計で、事故が少ないことから選ばれた。
中央分離帯がある高速道路で、速度の指定がない場合の最高速度は100キロだが、この両区間では2017年から110キロへの引き上げを試行。試行前後の1年間を比較すると、事故の発生や走行速度に大きな変化はなく、速度超過の取り締まりは新東名で3253件から1661件、東北道で730件から345件にほぼ半減した。警察庁は一定の安全レベルを確保したとして、120キロに引き上げて利便性を向上させる。
ただし、トラックなど大型貨物車は80キロ規制のまま据え置き、一部の区間では、片側3車線のうち左端の「第1通行帯」を走る規制を継続させる。普通車との速度差が広がり追突事故の恐れがあることから、警察がパトロールや取り締まりを強化する。