宮城交通(仙台市)と福山通運(広島県)などは7日、夜行高速バス「仙台-京都・大阪線」で乗客とともに貨物を運ぶ貨客混載事業を始めた。新型コロナウイルス禍で高速バスの利用者が減少する中、新たな収入源として貨物スペースを有効活用する取り組みで、宮城交通では2例目。
近鉄バス(大阪府)と共同運行する車両の荷物スペースを使い、宮城交通仙台南営業所(名取市)と近鉄バス八尾営業所(大阪府八尾市)の間を輸送。福山通運と子会社の南東北福山通運(仙台市)が集荷、配送を担う。毎週月-木曜の夜に仙台と大阪をそれぞれ出発する便が対象で、工業製品や部品、日用品など企業間の輸送を想定する。
仙台南営業所では7日午後4時ごろ、初便のバスに自動車部品などを積み込んだ。JR仙台駅を午後7時40分出発、八尾営業所に8日午前9時ごろ到着し、当日中に大阪市内の届け先に配送される。
福山通運はドライバーの残業時間抑制のため今春、仙台-大阪間を鉄道輸送に切り替え、配送は集荷の翌々日。高速バスの活用で輸送時間が短縮できる。
宮城交通の脇田淳営業部長は「京都・大阪線の利用者はコロナ前の約6割。原油高もあり、貨客混載で収支改善が期待できる」と説明。南東北福山通運の小林哲平社長は「小口の客や急ぎの品のための輸送手段を確保し、新たな需要を掘り起こしたい」と話す。