高速道路3社、事実上値上げ 国交省が新料金制度を発表

 国土交通省は20日、高速道路で来年4月から導入する新しい料金制度を発表した。対象は東日本、中日本、西日本と本州四国連絡の各高速道路会社の4社。本四高速が抱える債務を、東日本などの高速道路(NEXCO)3社が肩代わりすることと、国費で負担してきた料金割引の財源を同3月末で使い切ることに伴う措置。一部を除き、多くの料金割引が廃止・縮小される。
 本四高速は約3兆円の建設費がかかったが、利用が伸び悩んで債務の返済が進まず、政府と地元10府県市が出資して支えてきた。だが支援は今年度限りの打ち切りが決まり、採算性の高い本州3社と債務を統合することになった。
 並行して料金制度を見直し、基本料金を普通区間、大都市近郊区間、海峡部等特別区間の3つに再編する。1キロメートル当たりの基本料金は普通区間で24.6円、大都市近郊で29.52円、海峡部は東京湾アクアライン、本四高速の海峡部を対象に108.1円とした。
 一連の見直しにより、NEXCO3社の料金割引は廃止・縮小される。ただ消費増税に伴う激変緩和措置として地方部で普通車を来年4月以降、NEXCO3社がまとめた当初案では3割引に縮小するとしていた土日・祝日の割引率を、同6月末まで現行の5割引を延長する。
 トラックなどが対象の大口・多頻度割引は、当初案の最大4割引を2015年3月まで5割引に上げる。東京湾アクアラインは千葉県の費用負担を前提に当面の間、現行の800円を継続する。必要な財源、約620億円を13年度補正予算案で計上した。
 一方、本四高速では料金が下がる。瀬戸中央自動車道を大型車が平日に全線通行した場合の料金は、現行の4760円から3550円となる。高速道路の建設でできた債務は、料金収入を元に返済する「受益者負担」が原則とされてきた。他の地域の利用者が肩代わりする仕組みに、批判が出る可能性もある。
 新制度はETC利用が前提で、消費増税分の転嫁については来年4月までに検討する。国交省は全国の高速道路料金の仕組みを簡素化する検討を進める構えだが、首都高速は15年度まで、阪神高速は16年度まで現行制度を維持する。

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