日産自動車会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)の役員報酬を巡る有価証券報告書の虚偽記載事件では、ゴーン容疑者が虚偽記載を主導した疑いが浮上している。
背景には、高額報酬批判を嫌い、対外的には報酬を低くみせたいとの思惑が透けてみえる。
「当然1億円は超えているだろうと思っていたが、9億円に迫る金額をもらっていた。すごいと目が点になった」。ある自動車メーカー幹部は2010年に受けた衝撃を今も覚えている。
2010年3月期決算から始まった上場企業役員の報酬の開示制度に伴い、日産は同年6月23日の株主総会で、ゴーン容疑者ら計6人の役員の報酬を明らかにした。同社の役員報酬の総額は前期よりも9億円近く減り、17億円弱となったが、ゴーン容疑者の報酬は8億9100万円。開示された上場企業の役員報酬のトップだった。
その後も高額報酬の常連となり、ある企業関係者は「毎年『10億円の大台突破なるか』と注目が集まっていた」と話す。