高齢者情報、事前記入で搬送迅速に 仙台市消防局が「ガイドブック」作製

仙台市消防局は高齢者福祉施設向けに、救急車を要請する際の留意点をまとめた「救急ガイドブック」を作製した。添付の「救急連絡シート」に利用者の既往症などを記入しておいてもらい、患者の基本情報を救急隊が迅速に把握し、搬送時間の短縮につなげる。
 ガイドブックはA4判16ページ。1000部作製し、10月21日から順次、配布した。119番する場合の対応手順や留意点、心肺蘇生のやり方を掲載。高齢者施設からの救急要請で多い利用者の急病、転倒による負傷などの予防法も紹介した。
 連絡シートは利用者の氏名や住所、既往症、アレルギーの有無、服用中の薬、かかりつけ医などの基本情報を施設側が書き込む。家族への連絡、持ち物や同乗者の確認など救急搬送時のチェックリストも載せた。
 救急隊が連絡シートで患者の基本情報を的確に把握し、搬送する医療機関の選定に役立てることで、搬送時間を短縮する効果を狙う。連絡シートは医療機関にも提供し、治療に生かす。
 ガイドブックの配布先は市内の特別養護老人ホーム、通所介護施設など約900カ所。市消防局職員が施設職員に記入方法などを説明しながら配るという。
 市消防局によると、救急車の出動件数は増加の一途で、2018年は初めて5万件を突破した。65歳以上の高齢者の割合が大きく、54.1%と半数以上を占めた。
 荒井勲救急課長は「高齢者施設と救急隊の連携を強化し、搬送時間を少しでも短縮することで、増え続ける救急車の出動件数に対応していきたい」と語った。

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