魯迅の下宿跡地、仙台市が記念広場化 21年3月完成予定

仙台市は、近代中国の文豪、魯迅(1881~1936年)が留学時代に暮らした青葉区米ケ袋の下宿跡地を買い取り「魯迅記念広場(仮称)」として整備する。完成は2021年3月の予定で、足跡をたどる案内板などを設置し、魯迅ゆかりの地を後世に伝える。
 市公園課によると、広場を整備するのは東北大医学部の前身、旧仙台医学専門学校で学んだ時代の下宿「佐藤屋」跡地。敷地は423平方メートル。東北大片平キャンパス西側にあり、眼下に広瀬川を臨む。現在は元地権者が暮らした木造2階の建物が残る。
 魯迅が下宿した当時の建物は現存しないが、跡地はゆかりの地として名高く、魯迅を尊敬する仙台の中国人留学生、中国人観光客らが数多く訪れる。
 魯迅は1904年から1年半、旧仙台医学専門学校で学んだ。佐藤屋に下宿したのは数カ月だけだったものの、下宿を営んだ旧仙台藩士の佐藤喜東治氏から3代にわたり、魯迅の子孫との交流が受け継がれた。
 2004年、当時の藤井黎市長が市内であった魯迅留学100周年式典で、跡地を歴史遺産として活用する方針を表明。元地権者が15年に他界し、空き家となったため、市は17年3月に土地と建物を取得した。
 広場整備の基本計画は本年度内に策定する。5月ごろに建物を解体して更地にし、あずまや、ベンチ、魯迅の解説板などを設置する。20年度に工事に入り、21年度に利用を始める。
 東北大片平キャンパスには、魯迅が学んだ旧仙台医学専門学校の階段教室(六号教室)が残り、市博物館(青葉区)には魯迅之碑がある。市は記念広場の整備後、ゆかりの地を巡る観光ツアーなどを検討する。
 市公園課の担当者は「広瀬川や青葉山を一望できる立地。眺めの良い広場としても親しんでもらいたい」と期待する。

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