鳴子のコメ、おむすび店が栽培契約 15年春に専門店

首都圏でおむすびチェーン「おむすび権米衛」を展開するイワイ(東京都品川区)が、大崎市のNPO法人「鳴子の米プロジェクト」と栽培契約を結ぶことが分かった。品種は「ゆきむすび」で、買い取り額は相場の約2倍となる60キロ2万4000円。2014年産米から取引し、15年春に専門店を開店する予定。
 ゆきむすびは鳴子の米プロジェクトのシンボル米。くい掛けで乾燥させた減農薬、減化学肥料の特別栽培米で、取引量は年15トン前後の見込み。
 買い取り額は、農家が安心してコメ作りに専念できる価格として一律60キロ2万4000円に固定する。
 権米衛は「生産者の顔の見える店舗にしたい」とのコンセプトを掲げ、1店舗で1生産団体のコメを使う。
 イワイの岩井健次社長は「地域の人たちに支えられ、気象条件が不利な地でおいしいコメ作りに取り組む農家の思いに魅力を感じた」と説明。ゆきむすびの専門店は、米プロジェクトの趣旨を伝える店にする計画だ。
 同社は首都圏などに40のおむすび店を展開。12年度の売上高は約20億円、コメの取扱量は約800トン。取引先は能代市二ツ井町や山形県川西町など東北の生産者が4分の3を占める。
 鳴子の米プロジェクトは大手コンビニから取引を持ち掛けられたことがあったが、「作り手と食べる人の信頼関係を重視するプロジェクトの趣旨にそぐわない」と断った経緯がある。
 プロジェクトの上野健夫理事長は「イワイの農家を支えようという理念は、われわれの考えと共通する。これまで以上においしいゆきむすびを作るよう努力したい」と話している。

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