鶏も夏バテ…卵の価格、異例の「西高東低」に 九州、5年ぶり東京上回る

今夏の猛暑で鶏卵市場に異変が起きている。7、8月は卵の卸値が東京地区で下がって大阪地区で上昇し、Mサイズで1キロ当たり30円の差が開くなど異例の「西高東低」に。全国的に安いといわれる福岡地区(九州7県と山口県の一部)も7月平均は4年11カ月ぶりに東京地区の卸値を超えた。価格差の原因は東日本と西日本の気温の違いといい、影響が長引くとの指摘もある。

価格の指標となるJA全農たまごは、29日のMサイズ(1キロ)の加重平均価格が東京が180円、大阪は200円で、20円差。17日と20〜22日は30円差だった。福岡は29日が185円と、東京より5円高かった。

今年6月までは東京と大阪はほとんど差がなく、月平均では0〜4円差。ところがその後に異変がみられ、7月は大阪が東京を9円上回った。福岡は2013年8月以降、東京より高かったことはなかったが、7月は2円上回った。

東京の鶏卵卸業者によると、価格差の原因は猛暑。気温が高くなると、鶏の餌の食いつきが悪くなり、死んだり卵の生産が落ちたりするといい「厳しい猛暑の西日本で供給が落ち、価格が上昇した」。気象庁によると、7〜8月に最高気温が35度以上の猛暑日は、東京は11日だったが、大阪は27日に上るなど西日本での猛暑が際立った。

鶏は暑いと小ぶりの卵を産む傾向があるため、全国的にLサイズやLLサイズより小さなMサイズの供給が増えている。福岡県飯塚市の養鶏業者は、主に直売でLサイズの大玉を取り扱っているため「小ぶりが多くて直売では困っている」と語る。

気象庁は9月からの3カ月予報で、気温は平年よりも高いとみている。東京の鶏卵卸業者は「猛暑が続けば鶏卵価格への影響も長引く可能性があるが、関東の鶏卵が関西に流れているので価格差は徐々に狭まっている」と話す。

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