鶏卵も値上がり…卸値は過去30年で最高値、鳥インフルも直撃

輸入飼料高 鳥インフル 直撃…経済再開 需要も増加

 店頭価格が比較的安定していることから「物価の優等生」とされてきた鶏卵が値上がりしている。原材料高と円安による輸入物価の上昇を背景に、11月の卸値は過去30年で最高値となった。飼料価格の上昇や例年にない鳥インフルエンザの流行も重なり、高騰に拍車がかかれば家計の負担はいっそう重くなる。 【表】2022年に値上げする飲食料品の数

逆風

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スーパーに並ぶ卵。年末に向けて価格が上昇している(東京都足立区で)

 鶏卵卸最大手のJA全農たまご(東京)によると、11月の1キロ・グラムあたりのMサイズ(東京地区)の卸値は前年同月比26・6%上昇の262円。11月としては猛暑の影響で秋以降の産卵数が減った2013年の260円を上回った。

 値上がりの背景には、供給面での逆風に需要の拡大が重なったことがある。

 鶏卵生産のコストはトウモロコシなどの飼料費が約半分を占めるとされるが、飼料の9割近くは輸入に頼る。コロナ禍による海上輸送の混乱や、ウクライナ危機に端を発した国際的な穀物価格の上昇で、9月の配合飼料価格は1トンあたり10万287円と前年同月比で2割、20年9月比で5割上昇した。

 鶏卵は手頃なたんぱく源として生食のほか幅広い調理に使われ、もともと消費量が多い。とくに年末はケーキやおでんなど鍋物の需要が高まるため価格も上がりやすい。今年はコロナ禍からの経済活動再開で外食需要も回復し、需要がさらに押し上げられている。

猛威

 鳥インフルの猛威も、価格の押し上げ要因となりそうだ。

 今年度は岡山や鳥取、鹿児島県などで感染が確認され、12月5日朝時点で殺処分数が約399万羽と、過去最多だった20年度を上回るペースにある。このまま感染が拡大すれば、年明け以降も需給が逼迫(ひっぱく)する恐れがある。

 すでに店頭価格も値上がりしている。11月の東京都区部の鶏卵(10個)の店頭価格は前年同月比5%上昇の247円だった。

 東京都足立区の「スーパーさんよう」で仕入れを担当する阿部芳邦取締役(47)は、購入頻度の多い鶏卵の値上がりに「ライバル店との競争を考えると、上昇分全てを価格に転嫁するのは難しい」と話す。サイズの小さい卵を増やすなどして価格を抑えることを検討しているという。

牛乳も

(写真:読売新聞)

 鶏卵以外にも様々な食品で値上げが広がっている。

 輸入品が多いバナナ(1キロ・グラム)は、11月の東京都区部で前年同月比13%高い277円となった。日本が輸入するバナナの76%を供給するフィリピン政府は今年6月、生産や輸送にかかるコストが上昇しているとして、日本の小売業界に店頭価格の引き上げを求める要望を行った。

 原料の大豆の高騰などで豆腐(1キロ・グラム)は同じく11%高い266円、乳牛の飼料コスト増で牛乳(1リットル)が9%高い235円など軒並み価格が上昇している。

 スーパーなどの店頭で集客の目玉商品となり、安値で販売されることも多い食料品の値上がりは家計にとって一段の負担となりそうだ。

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