セントラル自動車の新本社工場が6日、宮城県大衡村で稼働した。拠点だった相模原市から異動した従業員は現在、約750人で、4月には約1350人に倍増する。地元黒川郡の大和、大郷、富谷の3町と大衡村は「人口増、経済活性化につながる」と期待。これまで打ち出した定住策を強化するなどして新住民の争奪戦を繰り広げる。
同社によると、昨年10月末現在、県内で一戸建てなど不動産を購入した従業員は215人。富谷町が58人、仙台市と大和町が各56人で、3市町で8割を占める。賃貸契約を結んだ338人では、大和町の120人が最多で、仙台市92人、富谷町77人、大崎市22人と続く。
こうした状況を踏まえ、居住が進んでいない大衡村は、子育て支援策の充実を懸命にアピールする。目玉は4月からの18歳以下の医療費無料化。幼稚園と保育所を一体化させた認定こども園の来年4月開園もセールスポイントだ。
マイホームを新築すれば最大130万円助成する制度も設け、県住宅供給公社が分譲を開始した住宅団地「ときわ台」などに呼び込む方針。村は「商業施設は少ないが、永住地の選択肢に入るはずだ」と自信を見せる。
大郷町も宅地分譲で対抗する。昨年、町有地を20戸分の住宅地として整地した。このうち大松沢地区は1平方メートル当たり2400円で販売を開始しており、町は「新工場まで車で10分強で着く」と売り込む。
大和町は行政サービスの向上をPRする。昨年5月に、転入転出や小中学校の転校など行政手続きを1カ所で行える総合窓口を設置した。町は「町内にはスーパーや病院などの施設も整う。役場にも親しみを持ってほしい」と話す。
富谷町は住環境や教育施設の紹介する冊子を新住民向けに作った。担当者は「仙台に近い利便性を前面に、住みやすさを訴えたい」と説明する。