大学入学共通テストの会場で、監督者の注意に従わず鼻を出したままマスクを着け続けた受験生の成績が無効になった。またネット上では、ウレタン製のマスクが悪者扱いされる話題も広がっている。「鼻出しマスク」や「ウレタンマスク」の感染予防効果をどう考えればいいのか。 【写真】スーパーコンピューター「富岳」によるウレタンマスクの飛沫シミュレーション。青色がマスクを通り抜けた飛沫、黄色が隙間から漏れた飛沫、赤がマスクに捕らえられた飛沫をそれぞれ表す=理研・豊橋技術科学大・神戸大提供、京都工芸繊維大・阪大・大王製紙協力 大学入試センターのウェブサイトでは、「試験場内では、必ずマスクを着用しなければいけませんか」という問いに対し、「昼食時を除き、常にマスクを正しく着用してください」とある。感覚過敏などによりマスクの着用が難しい場合は、医師の診断書を提出し、別室で受験する必要があるとしている。 マスクの効果に詳しい聖路加国際大学の大西一成准教授(環境疫学)は「呼吸やくしゃみの際は、鼻からも飛沫(ひまつ)が出る。もし感染者が鼻を出してマスクしていた場合、周囲に感染させるリスクがある」と指摘する。 また、感染力をもったウイルス飛沫が漂っている環境で鼻で呼吸すると「自分が感染してしまう危険性がある」という。 ただ、今回の件は「鼻を出した状態でマスクをすることにリスクがあるか、ないかというよりも、試験監督の注意に従わなかったということが大きい」と話す。 一方で、マスクを着けず、マウスシールドだけを着けている政治家やテレビ出演者もいる。「マスクで鼻を出していたこと自体を責めるならば、こうした状況について大人はどう答えるのか」と疑問を投げかける。