宮城県で過去最多の14人の新型コロナウイルス感染が確認された16日、郡和子仙台市長は臨時の記者会見で「大変厳しい状況だ」と危機感を募らせた。市内では東北工大や仙台大の男子学生ら13人の陽性が判明。若年層への注意喚起を強化する考えも示した。17日に村井嘉浩知事と共同記者会見を開き、感染予防の徹底を県民、市民に呼び掛ける。
郡市長は「51日ぶりに感染者が発生した6月18日以降、市内で確認された陽性患者29人のうち20人が10、20代だ」と指摘。「ウイルスは目に見えなくてもすぐそばにある。既往症のある人や高齢者に広がることもあり得る」と警戒した。
感染予防の徹底を学生に周知するよう、17日に市内の大学や短大、専門学校などに依頼文書を送るほか、市長が学生に直接呼び掛けるメッセージ動画を市ホームページで配信する。「基本的な感染症対策の徹底を粘り強く続けることが、何よりも大切」と強調した。
市内2カ所の飲食店でクラスター(感染者集団)が発生したと断定した。「飲食を共にする際はマスクを外す。料理の取り分けや近接した会話などで感染リスクが高まる。こうした場面はいつも以上に気を付けてほしい」と呼び掛けた。
4月にピークを迎えた感染拡大の第1波に続き、新規感染者が連日発生する。現状認識を問われると「第2波の可能性もあるだろうが、専門家の意見を聞きたい」と言葉を濁した。
現時点で事業者への休業要請、市民への外出自粛の依頼は必要ないとの姿勢。「ウイルスに勝つ治療薬もワクチンもない。いかにコロナと折り合いを付けながら経済を動かすかだ。一人一人、感染予防策を徹底してほしい」と力を込めた。