財務省が発表した2023年度の貨幣製造計画によると、1円玉から500円玉までの6種類の製造枚数は計5億8600万枚と、高度成長期以降で最少を更新する見通しとなった。キャッシュレス決済の普及が進み、通貨の使用が減っているためで、10円玉はピーク時の50分の1ほどの水準となる。
23年度の製造枚数は前年度実績比で7%程度減る。10円玉は3300万枚で、近年で最も少なかった22年度実績の6100万枚からほぼ半減となる。ピークの1970年代には年間15億枚以上を製造していた。
1円玉や5円玉、50円玉は既に十分な量があることから、21年度以降は「貨幣セット」を除き製造していない。22年度の製造量はそれぞれ53万枚だった。
貨幣の製造量は、消費税が導入されて小銭の需要が増えた1989年頃が最も多く、年間約50億枚に達していた。だが近年は急速に減っており、現在市中に出回っているのは約850億枚という。
一方で、紙幣(日本銀行券)は千円、5千円、1万円札で23年度に計30億3000万枚の製造を予定している。24年度に流通が始まる渋沢栄一らの肖像画を用いた新紙幣の量産が22年6月から順次始まっており、23年度の製造は全て新紙幣に切り替わる予定だ。