総務省が30日公表した2011年の住民基本台帳に基づく人口移動報告によると、東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県では転出者が転入者を上回る転出超過が計4万1226人に上り、10年の約4倍となった。東京電力福島第1原発事故の影響が大きい福島県は、転出者(5万3122人)が転入者より3万1381人多く、48年ぶりに3万人を超えた。
人口移動報告は、自治体間で住民票を移した人が対象で、実際に3県から流出した人口はさらに多いとみられる。今月12日現在の内閣府調査によると、震災により福島県から県外へ避難・転居したのが確認できた人は6万496人だった。
転出超過を年齢層別に見ると、福島県では0~14歳が9040人(前年214人)、その親世代の25~44歳が1万1142人(同651人)で、ともに大幅増。親世代は女性が多く、放射性物質を懸念し母子での避難が相次いだとみられる。
宮城県の転出超過は前年比5846人増の6402人、岩手県は同795人減の3443人。
3県の市町村で人口に占める転出超過の割合(転出超過率)が高いのは、宮城県南三陸町9.4%、岩手県大槌町8.5%、福島県富岡町6.8%など。津波や原発事故の被害が大きかった太平洋沿岸に集中した。
市区町村別で転出超過の多かった全国の上位10自治体には、トップの福郡山市(7232人)を含め宮城、福島両県の8市町が入った。震災で液状化被害の大きかった千葉県浦安市が8位。
転入超過が多かった自治体の1位は東京23区。福岡、札幌、大阪の各市が続き、被災地ながら避難者を多数受け入れた仙台市が5位に入った。
全国的には大都市への人口集中が続き、震災後は西日本への移動傾向も強まった。東京圏の転入超過は6万2809人で前年から約3万人減。大阪圏は4209人で38年ぶりに、名古屋圏は3060人で3年ぶりにそれぞれ転入超過となった。
転出超過は全国の36道県で、転入超過から転出超過に転じたのは茨城、千葉の2県。大阪、岡山など5府県は逆に転入超過になった。