気象庁は1日、今冬(2006年12月―07年2月)の天候まとめを発表した。東北地方も各地で平均気温や降雪量の記録が塗り替えられるなど高温少雪が顕著で、「観測史上トップ級の暖冬だった」としている。
●平均気温
平均気温は各県庁所在地をはじめ、東北の17観測地点すべてで平年より1.3度以上高く、仙台、秋田など5地点は過去最高の暖かさだった。
記録を更新したのは、仙台4.2度(過去最高4.1度)、秋田3.0度(2.8度)、酒田4・3度(4.2度)、会津若松2・0度(1.7度)、小名浜6.4度(5.8度)。秋田と小名浜は平年値を2.0度も上回った。
●降雪量
降雪量は全地点で平年より大幅に少なく、1センチ未満だった大船渡(過去最少9センチ)など10地点で最少記録を更新した。
過去最少は大船渡のほか、青森263センチ(361センチ)、むつ114センチ(183センチ)など。仙台4センチ(15センチ)、石巻1センチ(6センチ)など太平洋側沿岸域では、ほとんど本格的な雪が降らなかった。
記録は更新しなかったが、新庄307センチ(平年694センチ)、会津若松154センチ(447センチ)など山沿いの豪雪地帯も、平年に比べて半分に満たなかった。
逆に降水量は、12月末と1月上旬に季節外れの大雨に見舞われ、白河を除く16地点で平年を上回った。青森467ミリ(平年114ミリ)、酒田545ミリ(116ミリ)など日本海側は軒並み平年の3―5倍に達した。
●原 因
記録的な暖冬は、周期的に寒気の蓄積と放出を繰り返す「北極振動」が今冬は蓄積パターンで、太平洋赤道海域の水温が上がるエルニーニョ現象も起因したとみられる。
東北大大学院理学研究科の岩崎俊樹教授(気象学)は「東北の暖冬は北極振動が強く影響した」と説明する。12月から1月にかけて蓄積が続き、寒気の南下が弱かったためだ。
2月に入り、一時的に寒気は放出されたが、例年は日本の南岸を通過後に発達する低気圧がそのまま東海上に抜け、冬型の気圧配置が長続きしなかった。
気になる春以降への影響について、岩崎教授は「エルニーニョ現象が起きた年は冷夏になるケースが多いが、今年はそれほど強くなかった。冷夏にならない可能性もある」と推測している。
2007年03月01日木曜日
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