石巻市が東日本大震災の防災集団移転促進事業などで整備する新蛇田地区の宅地供給開始式が3日、現地であった。市街地5地区に計画する集団移転団地で、一戸建て用地が引き渡されるのは初めて。新蛇田地区は災害公営住宅と合わせて1200世帯以上が入居し、被災地で最大規模の団地となる。
新蛇田地区は46.5ヘクタールで、2017年度までに一戸建て用地727区画が順次供給される予定。集合タイプの災害公営住宅535戸や公園、緑地なども整備される。
先行して造成が完了したのは86区画。大型商業施設、医療機関などに近いことから人気が高く、入居者は抽選で決まった。1戸当たりの面積は平均約250平方メートルで、住民は今月から分譲や賃貸の契約を結ぶ。
供給開始式には市や工事の関係者ら約100人が出席した。移転する住民を代表し、門脇地区の自宅が津波で流失、仮設住宅で暮らす会社員佐々木雄一さん(53)が亀山紘市長と引き渡し契約を交わした。
佐々木さんは来年初めから住宅を建築し、3月に入居する予定。「あの日から時間が止まった気がしていたが、ようやく一歩を踏み出せる。明るい未来が迎えられるよう頑張りたい」と話した。
市街地5地区では計約1440区画の宅地造成が計画され、完了は18年度の見込み。新渡波地区(171区画)も今月15日に供給が始まる。亀山市長は「他の集団移転団地も一日も早く完成させたい」と語った。