14年産米概算金、暴落 東北まとめ

 東北の全農各県本部が、農家から販売委託を受けた際に支払う2014年産米の概算金が出そろった。各県の主要銘柄は前年比1200~4200円の大幅下落となり、おしなべて過去最低を記録した。コメの需要減と過剰在庫、東日本の豊作予想が重なり、一気に価格破壊を招いた形だ。
 各県本部が決めた主要銘柄の概算金(60キロ、1等米)は表の通り。福島第1原発事故の風評被害に苦しむ福島産コシヒカリの下落率が高く、浜通りは37.8%、中通りは35.1%も落ち込んだ。
 ブランド米として引き合いが強い山形のつや姫も、1200円(8.8%)の減。10年産の価格(1万1500円)こそ上回ったが、全国的な価格低迷の影響を受けざるを得なかった。
 東北各県の概算金下落は2年連続。青森県本部の棟方清治米穀部長は「東日本大震災後の品薄感で高値となった熱は冷めた」と分析する。
 岩手県本部は、昨年8万トンあった収穫前の事前契約量が2万トンにとどまる。関上康則米穀部長は「関東産コシヒカリでさえ1万円を割り込み、全国的にかなりの衝撃となっている。販売期間の長期化が避けられない」と厳しい見方を示す。
 米価の今後について「一定の引き下げをしないと市場から取り残される恐れがある」(山形県本部)、「産地間競争が一層激化し、市況が際限なく悪化する可能性がある」(秋田県本部)など、悲観的な見通しが漂う。
 主力品種ひとめぼれの概算金が過去最低となった宮城県本部の菊地潔本部長は「生産者には苦しい水準だが、単年で売り切るため現段階で考えられる最大限の価格を付けた。情勢は相当厳しい」と話した。

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