16原発初の放射性物質拡散予測 女川、最大18キロに及ぶ

 原子力規制委員会は24日、全国16原発で、福島第1原発のような過酷事故で放射性物質が放出された場合の拡散シミュレーションを公表した。避難が必要とされる被ばく基準に達するのは、陸地に全くかからない方位を除き、女川原発(宮城県女川町、宮城県石巻市)では原発から最大18.3キロ、東通原発(青森県東通村)では13.6キロ、福島第2原発(福島県富岡、楢葉町)では32.5キロに及ぶと試算した。
 政府側が過酷事故を踏まえた各原発の拡散予測を公表するのは初めて。立地道県が防災計画を策定する際、原子力災害対策を重点的に講じる区域を決める参考にしてもらおうと、各原発の全原子炉で過酷事故が起きたと想定して試算した。
 年間の気象データを基に、国際原子力機関(IAEA)が避難の基準とした「1週間の積算被ばく線量が100ミリシーベルト」に達する距離を16方位ごとに計算した。
 地形を考慮せず、原発立地点の気象条件しか当てはめていないため、規制委は「あくまで目安」と位置付けている。
 女川原発では、主に北北東から南東にかけた海側と、陸側では南、北西から西南西の石巻市や女川町への拡散を予測した。最大は北東21.5キロだが、原発から陸地を全く通過しない海上。3方位で基準に達する地点がなかった。
 東通原発では、北西の東通村やむつ市方面、東の海上に広がっている。福島第2原発では、北北西や南南東などに拡散。南、南南東の海上2地点で30キロを超えた。陸地でも北28.8キロ(南相馬市)、北北西24.1キロ(浪江町)などに及んだ。
 規制委は事前に事故に備える重点区域の目安を原発の半径30キロ(現行10キロ)に拡大する方針。対象市町村は現行の45市町村から135市町村となり、対象人口は約73万人から約480万人(一部重複)に激増する。
 福島第2のほか、最大40.2キロの柏崎刈羽(新潟県)、30.9キロの浜岡(静岡県)、32.2キロの大飯(福井県)の3原発でも30キロを超える地点があった。田中俊一委員長は「準備としては30キロで十分だと思う」と話した。
<図の見方>16方位ごとの数字は、基準線量(1週間で100ミリシーベルト)に達する原発からの最大距離(単位・キロ)。拡散の目安を示すため、便宜的に各地点を線で結んだ。数字のない方位は、基準線量に達する地点がないことを示す。

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