宮城県栗原市栗駒文字の温泉宿泊施設「栗駒山麓さくらの湯」が養殖するチョウザメから採った卵で、塩漬けのキャビアが本格生産できるようになった。行政や東北大の水産研究者ら15人を招いた試食会を5日に開催。参加者らの意見を踏まえ、販路拡大策を探っていく。
サワークリームのキャビア載せや、キャビアの軍艦巻き、チョウザメの内臓の煮込み、かば焼き風に焼いた切り身などが振る舞われた。キャビアは晩秋から春にかけてが一番おいしいといわれ、参加者らは「味が濃い」「ねっとりしてうまい」などと感想を語った。
東北大院の落合芳博教授(水産資源化学)は「チョウザメは卵や身だけでなく、皮も内臓もおいしく料理できる。他の水産資源のモデルになる」と評価した。
さくらの湯は敷地内に水槽5基を設置し、沢水を引いて15年ほど前からチョウザメの養殖を始めた。2008年の岩手・宮城内陸地震時に養殖施設が被害を受けて魚が大量死したり、東日本大震災で放射能汚染の風評被害に遭ったりといったダメージを受けてきた。
現在は養殖数が1000匹にまで回復。さくらの湯食堂でキャビアを本格提供できるようになった。
さくらの湯運営会社の大場武雄会長(77)は「2度の震災で大変な思いをしたが、やっとここまでたどり着けた。栗駒産キャビアをPRして地域おこしにつなげたい」と力強く話した。