帝国データバンク仙台支店は、2021年の景気見通しに関する東北の企業の意識調査結果をまとめた。「悪化」と予想した企業の割合は34・9%で最多だったが、20年見通しと比べて3・7ポイント減少。「回復」は5・4ポイント増の10・5%で、3年ぶりに2桁台に戻った。
仙台支店は「新型コロナウイルスのワクチン開発への期待感で、感染拡大が大きく影響した20年よりも良くなるとの見方が多くなったのだろう」と分析する。
21年の見通しはグラフの通り。業種別で「回復」と答えた企業は製造業で15・9%と高く、サービス業で14・5%と続いた。
「悪化」と答えた企業は不動産業で55・6%、建設業で44・4%など。新型コロナの感染拡大に伴い、テナント撤退による収入減や、業績悪化を受けた企業の設備投資抑制の影響を見込んでいると想定される。
21年景気の懸念材料(複数回答)は「感染症の影響拡大」が70・4%で最多。「雇用悪化」が26・7%、「所得減少」が24・1%と続いた。
前年トップの「人手不足」は19・1%で、36・8ポイントの大幅な減少となった。新型コロナによる業績悪化などで、人手不足への懸念が軽減されたとみられる。
20年の実際の景気動向は、新型コロナの影響で「悪化」が19年景気動向と比べて22・3ポイント増の56・0%。06年の調査開始以降、リーマン・ショックが影響した08年(85・7%)に次いで高く、09年(54・7%)以来の5割台となった。
「踊り場局面」は17・3ポイント減の26・0%、「回復」は1・6ポイント減の1・8%、「分からない」は3・4ポイント減の16・2%だった。
調査は20年11月16~30日、東北の1574社を対象に実施。有効回答は784社(回答率49・8%)。