地域内の金融機関の融資が預金の半分に満たない預貸率50%未満の都道府県がことし3月末時点で25道県に上り、10年前の6倍以上に増えたことが日銀の調査で24日、分かった。長引くデフレで各地の中小企業や個人の資金需要が低迷していることを示している。
日銀は金融緩和を強化しているが、金融機関は有望な貸出先を見いだせていない。規制緩和など民間需要を喚起する政策が急務となりそうだ。
預貸率は預金に対する貸出金の割合で、数値が高いほど集めた預金が融資に回っていることを示す。日銀は都道府県別に、それぞれの地域銀行と信用金庫の預金と地元向け貸し出しを集計し、預貸率を算出した。
その結果、ことし3月末時点で北海道、東北、北陸、中国、九州を中心に25道県で預貸率が50%を下回った。青森、宮城、秋田、福島、山梨の5県は40%にも届かなかった。最低は宮城の33.3%で東日本大震災の影響を受けたとみられる。一方、最高は大阪の67.8%だった。千葉や神奈川、静岡、福岡の各県も60%を超えたが、静岡を除く4府県は2002年3月末より預貸率が低下した。
日銀は「人口減少や高齢化が進行し、企業や家計の前向きな支出が低迷している」と指摘。地域金融機関が余った資金を「国債投資や自治体への融資に回している」と分析している。
日銀は市場への資金供給やゼロ金利政策に加え、金融機関に対して融資の増額分を低利で無制限に貸し出す制度も創設し、企業への貸し出しが増えるよう努めている。ただ、目立った効果は出ておらず、「金融緩和だけで需要を喚起できるはずがない」(経団連の米倉弘昌会長)と訴える声も上がっている。