3%増税 その時…

17年ぶりの消費税アップ。ほとんどの商品や外食メニュー、各種サービスなどの税率が8%に切り替わった。ただ、1日午前零時を回っても、5%を適用する業界も。身近な暮らしはどう変わるのか-。増税への日付をまたぐ、その瞬間が見たくて、ちょっぴり慌ただしい年度末の夜の街を歩いた。(清水俊介、福岡範行)
コンビニ レジ自動切り替え
 ほろ酔いのサラリーマンも、観光客カップルも、せわしい雰囲気だ。北陸随一の繁華街・金沢市片町。税率引き上げの直前、街角のコンビニに入った。
 「ちょっとでも安く買いたくて」。長野市から観光で訪れた会社員米島義晃さん(34)は、零時直前の時計に目をやり、安堵(あんど)の表情。たばこ一箱を手に「自宅には三カートンも買いだめしてあるんですけどね。駆け込みです」と笑った。
 ローソンやセブン-イレブンなど大手は、午前零時の瞬間、レジのシステムを自動的に切り替え、税率を引き上げたという。ただ店内を見回すと、5%と8%の値札が混在。日付をまたぎ、精算する場合はどうなるんだろう-。素朴な疑問が浮かんだが、張り紙の案内に納得した。会計の際、最初の商品をレジに通した時間が零時前なら、会計が零時すぎでも、全商品が税率5%のまま。その後の会計から8%になる。ここが「分かれ目」だ。
 一方、コンビニ前に並ぶ自動販売機の缶飲料は一本百二十円のまま。切り替え作業はこれからのようだ。
郵便局 窓口を一時休止に
 金沢中央郵便局(三社町)をのぞいてみた。郵便料金も一日から値上げになる。午後十一時すぎ、郵便物の引き受けや切手販売を行う「ゆうゆう窓口」の様子が変だ。二十四時間・三百六十五日だと思い込んでいたが、違った。システム切り替えのため、三十一日午後十一時から三時間、休止という。年越しの瞬間でも開いている窓口が異例の対応。コンビニのように税率引き上げの瞬間に立ち会うことはできなかった。
 日付をまたぐ時間帯こそ、かき入れ時のタクシーはどうか。三百台余りを抱える石川交通(金沢市)の運賃は5%のまま。営業を終え帰社したタクシーから順次、切り替えた。
 JR金沢駅前などファミリーレストランを全国展開する「すかいらーく」(東京)は、レジ切り替えの時間を各店の判断に任せた。「食事のペースは人それぞれ」と広報担当者。全員の精算が済んだ後、レジを8%対応に変更する。
スーパー店頭 値札付け替えピーク
 大手スーパーのイオンかほく店(石川県かほく市内日角)では、閉店一時間前の三十一日午後十時ごろ、ティーバッグなど約三十品目の値札を本体価格、税込み価格を併記する消費税8%のものに切り替え、作業を終えた。
 イオングループで県内最大の売り場約一万六千平方メートルの同店。一カ月前から、消費税5%の値札の裏に、新しい値札を差し込む作業を開始。三十一日は両方の値札が混在するお知らせを表示し、5%の値札を一日がかりで外した。
 広報担当者は「商品価格と総額、両方を知りたいというお客さまの声に応え、併記しました」と説明。駆け込み需要で酒類、たばこの売り上げが好調だったといい「四月は反動があるだろうが、他の消耗品で取り返したい」と話した。  (高橋淳)

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