仙台市中心部にある青葉区のファッションビル「仙台フォーラス」7階に、アートの展示や創作が楽しめる新しい創造スペース「even(イーブン)」が誕生した。今月中旬、創作に必要な工具や機材を貸し出す「道具の図書館」などの利用が始まり、本格稼働する。アートを通じて新しい体験に触れてもらおうと、ファッションブランドならぬ「アクションブランド」を掲げる。
イーブンは約460平方メートル。展示ギャラリーやイベントスペースのほか、会員制の道具の図書館、動画配信スタジオを備える。美術制作以外にもオンライン会議など、多様なニーズに対応する。
道具の図書館は大量消費見直しの仕組みとして、欧米で注目される。カッターやはさみといった一般的な道具を貸し出すほか、データを入力して木材やアクリル板を自在に加工するCNCルーター、3Dプリンターなども備える。レンタルで、イベントのたびに道具を購入して使い捨て状態になるのを防ぎ、若手アーティストの設備投資費も抑えられる。
イーブンは「対等」を意味する英語に「異聞」「異文」の音を重ね、異なる文化に触れる場を目指す思いを込めた。運営する青葉区のギャラリー「ターンアラウンド」の関本欣哉代表(46)は「新しい価値観を発信するモデルになりたい。芸術文化に関心ある人だけでなく、多様な人がコミュニケーションできる場が中心部にある意味は大きい」と意気込む。
フォーラスでは、3月からイーブンを中心とするアートイベントが月替わりで始まっている。これまでに仙台市出身のジャズピアニスト・作曲家秩父英里さんのライブやフラワーアート展、民俗芸能公演を実施。今後、路上芸術と呼ばれる「グラフィティアート」で、階段壁面に絵を描く予定もある。
フォーラスの佐藤雄一館長(57)は「ネットで物が手に入る時代に、中心市街地のビルとして新しいライフスタイルや人々の出会いを提供したい。社会課題解決への力を持つアートに着目した」と話す。
年会費は個人5000円、法人3万円など。連絡先はイーブン022(796)3308。