仙台市太白区秋保町湯元の名取川に、全長60メートルの「湯の橋歩道橋」が完成した。市が渓谷の景観を楽しんでもらおうと、1960年代まであったつり橋をモデルに42年ぶりに再整備した。利用開始は12月6日で、関係者が開通式を行い完成を祝う。
湯の橋歩道橋は、県道仙台山寺線(秋保街道)と秋保温泉街を結ぶ市道湯元湯向線に架けられた。「湯の橋」の隣に造られ、幅3メートルのコンクリート製。
両端に高さ約6メートルの塔柱を設け、橋げたを鋼製のロープでつっている。総事業費は約4億8600万円で、周辺に歩道(90メートル)や休憩スペースも設けた。
モデルにしたのは、かつて近くに架かっていた木製のつり橋。老朽化のため1968年ごろに取り壊された。10年ほど前に歩道橋整備の話が持ち上がり、市は2008年10月に旧橋のレトロな趣を残した構造物として再現する工事を始めた。
歩道橋整備に伴い、「湯の橋」は車道専用となる。車が行き来しやすいように車道の幅員を4.5メートルから5.5メートルに広げる。
市道路計画課によると、市が管理する橋は1137カ所あるが、つり橋形式のものは湯の橋歩道橋だけという。
市秋保総合支所は「橋の周辺は県立自然公園の二口峡谷の区域のため、つり橋は周りの景観にも調和している。地域のシンボルとして長く愛される橋になってほしい」と語る。
開通式は午前7時に秋保温泉旅館組合の主催で行う。紅白の大福約300個を用意し、地元の小学生らに振る舞う。組合は「昔の温泉街を知る人は懐かしんでもらえると思う。湯治客をはじめ多くの行楽客に歩道橋を渡ってもらい、自然豊かな峡谷の風景を楽しんでほしい」と話している。