学制改革を検討している文部科学省は3日、幼稚園や保育所などの最終学年を無償化し、義務教育とする方向で最終調整に入った。基礎学力を早期に身につけさせることなどが狙いで、幼保の枠組みを維持したまま、小学校生活にスムーズに移行できるように改革する。また、小中一貫校を制度化するとともに、中学校の教員が小学校でも教えられるよう教員免許の総合化や弾力化なども検討する。
文科省関係者への取材で分かった。幼保最終学年の無償化や教員免許の制度改革は、政府の教育再生実行会議が7月にもまとめる学制改革の提言に盛り込まれる見通し。
関係者によると、現在6歳からの小学校入学年を5歳に引き下げる案も一部で検討されたが、経営悪化を懸念する幼保団体などからの反発も予想され、文科省は現行の幼稚園、保育所、こども園などの枠組みを維持したまま、最終学年の5歳児のみを無償にすることで義務教育化する方針を固めた。
小学校では近年、新1年生が学校のやり方になじめず、教員の話を聞かないなど「小1プロブレム」が課題になっている。こうした中、文科省は5歳児から義務教育化することで、幼保の施設ごとにバラバラだった教育内容を一定化させ、質を向上させたい考えだ。
また、一部の自治体が特例的に導入している小中一貫校を、新たな学校種の「義務教育学校」(仮称)として制度化することも検討。その上で学年の区切りを現行の「6・3」から「5・4」にするなど、柔軟な運用も可能にする。
制度改革により、小学校から教科担任制を導入して算数や英語などの専門教育が可能となる。だが、現行の教員免許制度では、中学校の教員は小学校の学級担任になれず、小学校の教員は中学校で授業ができないなどの制限があるため、小中一貫の総合免許を創設したり、教員免許を弾力化したりする方針も固めた。
学制改革を議論している教育再生実行会議が7月にもまとめる提言を受け、文科省は学校教育法の改正案づくりなどを進める方針。