7市町「人口10%超減」 復興遅れ仙台圏へ流出

 東日本大震災の津波で被災した岩手、宮城、福島3県の沿岸37市町村のうち、7市町の人口が震災前に比べ10%以上減ったことが、河北新報社が行った各市町村へのアンケートで分かった。34市町村で人口が減ったのに対し、仙台市と、同市に隣接する名取市、宮城県利府町は増加した。被災地の復興の遅れから仙台圏に人口が集中する傾向がうかがえた。
 アンケートでは、住民基本台帳(住基)に基づく震災直前の2011年2月末と、13年12月末の人口を聞いた。集計結果はグラフ・地図の通り。
 減少率が最も大きいのは宮城県女川町の25.0%。1万人超だった人口が7512人に激減した。岩手県大槌町と宮城県山元町は20.7%の減。続いて宮城県南三陸町16.9%、岩手県陸前高田市15.2%、岩手県山田町12.0%、福島県南相馬市10.4%のマイナスとなった。
 人口が増加した仙台圏の3市町の増加幅は3.4~2.1%。民間の宅地開発やマンション建設が進み、被災自治体から流出する人口の受け皿になっている。
 住基に基づく人口は、居住の有無にかかわらず住民票がある自治体に計上される。被災地では住民票を残して避難する被災者も多いため、アンケートでは実際に居住する人口の推計値を聞いた。
 回答したのは21市町村。5市町が住基上の人口を上回り、8市町は下回った。3町村は同数だった。福島第1原発事故で他市町村から住民が避難するいわき市は、住基人口より約1万4000人多い約34万9000人と推計する。
 一部が避難指示区域に入る南相馬市は住基人口より約1万2500人少ない約5万1500人と答えた。全住民が避難する福島県浪江町など5町は推計人口ゼロとした。
 人口減少を食い止める対策として、各市町村は「町内に新築・中古住宅を取得、既存住宅を建て替えた被災者に補助金を交付」(女川町など)「広報の全世帯配布、各地での交流会開催」(福島県浪江町)などを挙げた。

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