75歳以上が加入する後期高齢者医療制度について、厚生労働省は所得の低い人などを対象にした保険料軽減の特例措置を、段階的に廃止する方針を決めた。加入者の半数にあたる約865万人の保険料が上がる見込みだ。実施時期は今後詰める。
15日にあった社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会で方針を示し、おおむね了承された。少子高齢化で現役世代の社会保障費の負担が重くなり、高齢者にも支払い能力に応じた負担を求める必要があると判断した。
75歳以上の保険料軽減措置(低所得者向けの特例) 朝日新聞 75歳以上の保険料軽減措置(低所得者向けの特例)
厚労省が示した影響額の試算によれば、年金収入が年80万円以下の一人暮らしのお年寄りの場合、現在の保険料は9割軽減の月額370円。特例が廃止されると7割軽減になり、月1120円に上がる。さらに二人暮らしの夫婦(ともに年金収入が年80万円以下)の場合、現在は保険料負担は9割軽減され、二人で月740円。特例がなくなり7割軽減になると、月2240円に上がるという。
後期高齢者医療制度の保険料は個人単位で計算する。加入者全員が払う定額部分(均等割)と、所得に応じた部分(所得割)の合計で決まる。ただし低所得者の保険料負担が重くなりすぎないよう、軽減策が政令で決められている。定額部分については、一定の年収以下の人は、保険料の2割から7割が軽減される仕組みがある。