9月の外食売り上げ0.3%増 牛丼値下げ競争が牽引

日本フードサービス協会が25日発表した9月の外食売上高(新店を含む全店ベース)は前年同月比0.3%増となり、3カ月連続でプラスとなった。前年のようなシルバーウイークの大型連休がなく、天候も不良で悪条件が重なったものの、牛丼チェーンを中心としたファストフードが価格値下げキャンペーンを大々的に展開したことで客数が増加し、プラスを確保した。
 9月は前年に比べ日祭日が1日少なく、前年に5連休となった大型連休にも恵まれないなど暦の上でのマイナス条件があったほか、天候も月後半から秋雨前線が活発になり、雨天日数が前年同月よりも多かった。休日の減少や天候不良はファミリー層を中心にした来店客の減少要因になるが、客数は前年同月比3.9%と堅調に推移した。
 客数増を牽引(けんいん)したのはファストフードだ。
 客数が6.0%増加し、売り上げは1.4%増となった。
 特に9月は牛丼チェーンの吉野家が並盛り280円の「牛鍋丼」を投入。売り上げ客数ともに回復する一方、「すき家」「松屋」のライバル2チェーンも対抗する形で牛丼の値下げキャンペーンを展開し、売り上げ増につなげた。
 これを反映するようにファストフードの中でも和風業態は客数が25.7%も増加。客単価は13%減ったにもかかわらず、売り上げは9.3%増と2けた増に迫った。
 一方で、ファストフード以外のを除く、他業態は厳しい展開が続いている。ファミリーレストランの売り上げは0.2%減、ハブ・居酒屋も1.8%減、ディナーレストランも6.6%減と軒並み売り上げを落とした。
 全体の客単価をみると、3.4%減と8月よりもさらに下げ幅を拡大。物価が持続的に下落するデフレ傾向が強まっている。客単価の下落を客数増で補っているが、景気低迷が続く中で、客数の伸びを持続できるかどうかは不透明で、外食業界は綱渡りの競争が続いている。

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