自動車大手8社の2011年9月中間連結決算が8日出そろった。
営業利益はトヨタ自動車とマツダが赤字になるなど、7社が前年同期に比べ減少または赤字転落となった。円高が利益を圧迫しており、東日本大震災の打撃から立ち直って今年度下半期は大増産に転じるという各社の青写真は狂い始めている。
中間決算では、円高で営業利益がトヨタは1300億円、日産自動車1057億円、ホンダは522億円それぞれ押し下げられ、減益の要因となった。
下半期(10月~12年3月)についても、超円高が定着しているだけに、経営環境の好転は期待しにくい。マツダは通期の営業利益の予想を、円高の影響で355億円押し下げられるとして、6月時点の200億円からゼロに下げた。富士重工業も下半期分の税引き後利益見込みが32億円と、上半期の10分の1だ。
タイの洪水も影を落とす。トヨタとホンダは洪水の影響を現時点で見通せないとして、通期の業績予想を白紙にした。これに対し、14日にタイ工場を再開する日産自動車は通期の営業利益の予想を従来より500億円増の5100億円と上方修正した。日産は部品の在庫を多く持っていたほか、仏ルノーとの連携で世界的に調達を多様化したため、震災からの復旧が早かった。
トヨタの小沢哲副社長は8日の記者会見で「日産自動車から学びたい」と異例の発言をし、徹底して在庫を持たない「トヨタ生産方式」を一部見直す考えを示した。(鹿川庸一郎、小野田潤)
(2011年11月9日 読売新聞)