<うみの杜水族館>シニアが人気下支え

昨年7月のオープン以来、開業1年の入館者が188万9400人を記録した「仙台うみの杜水族館」(仙台市宮城野区)が絶好調だ。館内をそぞろ歩くと、高 齢者が多いことに驚かされる。人気を下支えしているのは「アクティブシニア」に代表される熟年世代とみた。(報道部・上村千春)

<介護施設利用者も>
東北の海を再現したブースで熟年カップルが盛り上がっていた。「おいしそうだね」「うん、切り身にしたい」。つり下げられたホヤや、イワシとサバの群れを、独特の視点で楽しんでいるらしい。
夫婦で初めて訪れた仙台市青葉区の無職矢田正人さん(64)は「東北の海の展示は見応え十分。また来たい」と満足した。
屋外プールでは介護施設に通所する80~90歳代の団体が、イルカとアシカに歓声を上げていた。「すぐ前のことを忘れてしまう人も、大喜びで『水族館に行ってきたよ』と家族に報告するんですよ」と一行を引率した宮城野区の介護事業所「ほの花」の伊藤紀子所長(64)。

<「来るたびに発見」>
水族館と言えば「若者のデートスポット」と思い込んでいたが、どうやら世代に応じた多様な楽しみ方があるようだ。特にシニア世代には年間パスポートが受けている。
年間パスは入館2回分の料金で1年間利用し放題。常時財布に忍ばせ、買い物ついでに立ち寄ったり、毎日訪れたりする客もいるそうだ。
「来るたびに展示物が入れ替わり、イルカやアシカの芸が増えている。新しい発見があって楽しい」と、年間パスの効能を青葉区の主婦藤沢美千子さん(68)が教えてくれた。
ほかにも、「孫にせがまれて何度も足を運ぶのでお得」「夫婦で出掛ける定番コース。歩数計の数値も上昇して健康増進にも一役」といったようにシニアの年間パス活用術はさまざまだ。
同じ企業が運営する「横浜・八景島シーパラダイス」(横浜)、「アクアパーク品川」(東京)と比べても、うみの杜は高齢者の入館者が多いという。副館長の 和田淳太さん(45)は「シニアは、水族館という非日常空間を日常生活にうまく取り入れているのではないか」と分析する。

[仙台うみの杜水族館] 8月28日までの夏期営業は午前9時~午後7時半(8月11~16日は午前8時開館)。入館料は大人2100円、中・高校生1600円、小学生1100円、幼児600円、65歳以上1600円。連絡先は022(355)2222。

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