仙台市宮城野区の仙台港背後地に1日、仙台うみの杜水族館が開業した。鉄骨2階の建物は津波避難ビルに認定され、地域の防災拠点として地元で期待の声が上がる一方、週末の交通渋滞を懸念する見方もある。
市によると、水族館は、災害時に屋上と2階展望デッキに計1500人を収容できる設計になっている。今後、毛布や食料、水といった備蓄品、無線機などもそろえて備えを強化する。
近くの高砂商工振興会の伊藤睦裕副会長(58)は「津波が来たときに助かる。避難施設として期待できる」と言う。
水族館が立地する仙台港背後地は、県と仙台市が1991年に着手した土地区画整理事業で整備された。
背後地開発で近隣に移転した「なかの町内会」の小幡光男会長(67)は「水族館が開業し開発の成果が見られることは喜ばしいし、協力したかいがある」と喜ぶ半面、「来場客が車で集まり、渋滞が起きれば生活に影響する」と心配も口にする。
水族館は、周辺道路にスタッフを配置して車を誘導し交通の円滑化に努める考えを町内会向けの説明会で示している。
水族館が敷地の一部に建つ高砂中央公園は面積14.5ヘクタールで、市が2018年度の完成を目指し震災後初めて整備する大規模公園。津波避難ビルとしての水族館のほかに野球場やテニスコートの建設計画もあり、復興と交流、防災がキーワードの公園と位置付けている。