<うみの杜水族館>集客好調 にぎわい波及

仙台うみの杜水族館(仙台市宮城野区)は7月1日、開業1周年を迎える。初年度(昨年7月~今年3月)の入館者数は149万6700人で、目標の100万 人を大きく超え、活況は近隣の商業施設にも波及した。東日本大震災からの復興を担う観光拠点として期待は大きいが、本年度は入館者数に頭打ちの兆しも見ら れ、リピーターの確保が課題となっている。
好調の要因について、水族館は「東北の海を再現したブースが人気を集めた。東北では珍しいイルカショーも大きな関心を呼んだ」とみる。入館者数のうち、何度でも入場可能な年間パスポートの利用者は延べ40万5000人。購入者は10万人を超える。
開業効果は水族館が立地する仙台港エリア全体に及ぶ。三井アウトレットパーク仙台港の2015年度の売り上げは131億円で、14年度に比べ8%増加。駐 車場は従来以上に宮城県外ナンバーの車が目立つ。石田勝也所長は「港エリアの複数の施設を利用するお客さまが増えた。回遊性が高まっている」と話す。
水族館開業1周年に合わせ、周辺の39施設・団体でつくる仙台港エリア振興会は24日、年間パスの提示で割引などの特典が受けられるキャンペーンを開始。さらなる誘客を図っている。
開業2年目の水族館は集客面で真価が問われる。4月の入館者数は10万8300人で閑散期の2月(8万200人)、1月(9万9700人)に次ぐ少なさ だった。和田淳太副館長は「集客を正当に評価できるのは、前年同月で比較できるようになってからだ」と言うが、開業当初の勢いに陰りが見えるのは確かだ。
7月から年間パスの更新が本格化するのを前に、更新期間限定のカードデザインを導入したり、ピンバッジをプレゼントしたりしてリピーター確保に躍起だが、担当者は「出足は鈍い」と渋い表情を見せる。
持続的な集客へ向け、東北の他の水族館が凝らしている工夫が参考になる。
男鹿水族館GAO(男鹿市)は年間パス会員に土産物や有料イベントの料金割引サービスを実施。飼育員が積極的に展示場に立ち生物の解説をするなど、来館者との交流に力を入れる。
浅虫水族館(青森市)は昨年12月に名物の「トンネル水槽」を改装オープンする際、来館者に約20種2000匹の生き物を水槽に入れてもらった。担当者は「体験型イベントは集客効果がある。ただ、学習にも役立つ展示そのものの魅力こそが水族館の本質だ」と強調する。

[仙 台うみの杜水族館]東日本大震災の津波で浸水した高砂中央公園をかさ上げして整備し、2015年7月開業。鉄骨2階で延べ床面積約9900平方メートル。 水槽約100基に約300種、約5万点の生物を展示する。15年5月閉館のマリンピア松島水族館(宮城県松島町)から飼育員や生物を引き継いだ。

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