<この国が縮む前に>タクシーなど外国人運転手を拡大 国交省「特定技能」に追加検討

国土交通省は、人手不足が顕著なトラック、バス、タクシーのドライバーについて外国人労働者を活用する検討に入った。労働力が不足する産業で、即戦力となる外国人労働者の受け入れを認める在留資格「特定技能」の対象に、「自動車運送業」を今年度中にも追加する方向で出入国在留管理庁と協議している。人口減少で国内の労働力が不足する中、外国人材に活路を求める動きが加速しそうだ。 【写真まとめ】運転手として働く外国人  トラックなどのドライバーを巡っては、2024年4月から残業時間の上限が年間960時間に規制される。この影響で人手不足がさらに深刻化し、需要に合わせて人やモノを運べなくなる「2024年問題」が懸念されている。  全日本トラック協会、日本バス協会、全国ハイヤー・タクシー連合会の3団体は、それぞれ今春に策定した23年度事業計画で、特定技能の対象にドライバーを追加するよう求める方針を明記。これを受けて国交省は、不足している人手の規模や今後5年間の外国人受け入れ見込み数の把握、荷物の積み下ろしや客との意思疎通など業種に合わせた運転手としての技能試験の整備を進めている。  ◇「運転手、とどめ刺すように急減」  厚生労働省によると、今年6月のドライバーの有効求人倍率は、トラック2・12倍▽バス2・10倍▽タクシー3・95倍で、全職業平均(1・12倍)を大きく超える。  若い世代の確保も急務だ。特にタクシー業界は運転手の平均年齢(22年度)が58・3歳で、高齢層が主力になっている。11年度に約34万人いた運転手(法人タクシー)は21年度は約22万人と10年間で3割強も減少。全国ハイヤー・タクシー連合会は「新型コロナウイルスの感染を恐れて高齢ドライバーの退職がさらに相次ぎ、近年はとどめを刺すように急減した」と訴える。  ドライバーとして働くには日本の運転免許が必要だが、客を乗せるバスとタクシーは「第2種免許」の取得が必須だ。試験は日本語のみで行われ、外国人にはハードルが高い。「言葉の壁」を抱える外国人が2種の試験を受ける場合にどう支援するのかや、安全運転の徹底策の検討が必要になる。外国人ドライバーを対象に研修の仕組みを設けるべきだとの声も出ており、制度設計が課題だ。  特定技能をめぐっては、政府は制度を創設した19年度からの5年間で、介護や建設など12の産業分野で34万5150人の外国人を受け入れ上限としてきた。24年度以降の上限は、各分野の5年間の受け入れ実績などを踏まえ今年度中に閣議決定する方針だ。これまでに産業分野が追加されたことはない。入管庁関係者は「外国人を安く雇うという発想ではなく、日本人も外国人も互いに『ウィンウィン』となることが理想だ」と話している。【横田愛、道下寛子、飯田憲】

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