<さくら野仙台跡地>破産手続き終結も利用方針は固まらず、仙台駅前空洞化の恐れ

さくら野百貨店仙台店(仙台市青葉区)の運営会社エマルシェ(同)が自己破産した問題で、同社の破産手続きが27日、終結した。2017年2月27日の自己破産申請から2年以上が過ぎても跡地の利用方針は固まっていない。地元経済関係者から空洞化を懸念する声が強まっている。

 関係者によると、非公開の債権者集会が今月27日に仙台地裁であり、破産管財人が弁済状況などを報告した。裁判官は破産手続き終結を告げ「事態が前向きに進むことを期待している」との趣旨の発言をしたという。
 エマルシェの負債は約36億円に上り、取引業者らへの配当はなかった。仙台店跡地のビルの原状回復費用や、ポリ塩化ビフェニール(PCB)の運搬・処分費用、従業員の退職金の一部などは支払われた。
 エマルシェは17年2月26日、従業員約120人を解雇。翌27日、仙台地裁から破産手続き開始決定を受けた。債権者集会は同年10月以降、計5回開かれた。
 仙台店跡地を巡っては、他にもビルのオーナーらの間の調停や訴訟があり、全て終わった。オーナーらは協議を続けているが、解体方法や再開発の方向性は定まっていない。
 一方、仙台店跡地から青葉通を挟んで向かいの商業ビル「GSビル」では解体工事が進み、今年夏にも完了する見込み。GSビルに隣接する複合商業施設「EDEN(エデン)」のテナント契約期限は20年1月末までとされる。
 GSビルの土地を所有するオリックス(東京)のグループ広報部は、解体後の跡地について「利用計画は未定だが、開発も見据え解体している」と説明する。
 仙台店跡地前の「青葉通」の路線価は18年、62年連続で東北トップとなった。商店街関係者は「一等地の空洞化を防いでほしい」と願い、不動産関係者は「再開発の行方は地域経済やまちづくりに大きな影響を与える」と指摘する。

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