<せんだい進行形>「無人」に商機アリ 非接触の風潮逆手に

新型コロナウイルス禍で人との接触を避ける風潮を逆手に取り、「無人」を売りにしたビジネスが仙台市内で広がっている。対面のサービスが当たり前だった業態も、情報通信技術(ICT)が無人化を可能にした。人件費を抑えるなどの利点もあり「コロナ後」も続く潮流になりそうだ。
(報道部・関川洋平)

ショールーム内、遠隔説明

 「リビングに採用するお客さまが多いです」「フレームは8色から選べます」
 住宅用ドアメーカーの神谷コーポレーション湘南(神奈川県伊勢原市)が昨年12月、若林区蒲町東に開設した無人ショールーム。ビデオ会議アプリの画面越しに、担当者が商品を説明する。
 完全予約制で、客の来店時間のみ遠隔操作で稼働する。開設は昨年6月の新潟市、同7月の福岡県久留米市に次いで全国3カ所目。ブランディング企画課長の田中多世さん(58)は「小型ショールームを多くの都市に展開する方針がもともとあり、コロナ禍で流れが強まった」と説明する。
 ショールームを訪れた住宅工務店「住環境工房 想創」(青葉区)代表の鎌田隼さん(34)は「遠隔だからこそ、質問に即座に答えてくれるかどうかなど、担当者の知識と会話の技術が重要になる」と指摘する。

機器独り占めの個室ジム

トレーニング機器を独り占めできる個室ジム=宮城野区原町3丁目

 宮城野区のJR陸前原ノ町駅にほど近い建物の一室には1月、時間貸しの個室ジム「ジムジン」が開業した。約30平方メートルの室内には大型トレーニング機器があるだけでトレーナーはいない。話し相手は自らの筋肉のみだ。
 入り口の扉はスマートロック(電子錠)で施錠されており、ウェブサイトから予約した利用者のスマートフォンが鍵になる。利用料の支払いもオンラインで、人との接触は一切ない。1時間1200円から。
 代表の永作和也さん(30)は「他人に体を見られることを気にしたり、機器の使用を上級者に遠慮したりする必要がない」と話す。子ども連れでも利用できるので「出産後にトレーニングを再開できた」との声も寄せられているという。
 

高級カメラで「自撮り」

 青葉区の仙台フォーラス6階に20日開店する無人の写真スタジオ「ログブース」は、「スマホではなく高級カメラで自分の写真を撮りたいけれど、カメラマンと向かい合うのは気恥ずかしい」との要望に応える。
 コワーキングスペースの一角を間借りし、撮影機材を配置した。客は1人でカメラの前に立ち、リモコンでシャッターを切る。タブレット端末で気に入った写真を選び、自分のスマホなどに転送する。料金は45分3000円。
 オーナーの土井祐嘉(まさよし)さん(30)は「韓国で若者に人気がある、いわば『かっこいいプリクラ』。フォーラスに集まる服好きの関心も引きたい」と意気込む。初期投資に約100万円をかけたが、「維持コストがほとんどかからないのも無人のメリットだ」と語る。

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