<だて正夢>デビュー2年目、勝負の年 生産倍増、首都圏で知名度向上図る

2018年10月に本格デビューした宮城県産ブランド米「だて正夢」の2年目の栽培が始まった。19年産の作付面積は18年産比の2倍を確保し、全国的にいまひとつの知名度のアップに向け、首都圏でのPRに注力する。全国の銘柄米がひしめく高価格帯市場で存在感を示せるか。正念場だ。
 東京都港区の複合施設六本木ヒルズにある地上約45メートルの屋上庭園で5月中旬、ヒルズ住民やオフィスに勤める人がだて正夢の苗を一本一本手植えした。参加者は約170人に上った。
 18年10月のデビューイベント会場がヒルズだった。ゆかりの地で開かれた、若い富裕層をターゲットにしたPRイベント。田植えを終えた参加者にだて正夢を配り、盛況に終わった。
 18年産だて正夢の出荷量は約1300トン。既に9割以上が売れ、出荷は県内と県外で半々となるよう振り分けた。プレデビューと位置付けた17年産が、生産した250トンのうち1割しか県外に回せなかったことの反省を踏まえた。
 18年産はJR東日本と連携し、東北新幹線の最上級車両「グランクラス」で提供したり、日本航空、全日空の機内食に採用されるなど、大手企業とタッグを組んで首都圏向けPRを展開した。
 ただ、名前はまだまだ浸透していない。県は今年2月、首都圏の消費者にだて正夢の認知度を聞くウェブ調査を実施したところ、「知っている」と答えたのは1割にとどまった。
 18年産の作付面積はプレミアム感を重視し、301ヘクタール。一方、18年にデビューした山形県の新銘柄米「雪若丸」は1709ヘクタールだった。都内の米卸や米穀店は「消費者に行き渡るには圧倒的に量が足りない」と口をそろえる。
 19年産だて正夢の作付面積は619ヘクタール(5月1日現在)に拡大する。生産者も新たに274人が加わり、658人が作付けする。生産量は約3000トンを見込んでいる。
 県産米のブランド確立に向け、県は組織体制も見直した。だて正夢をはじめ宮城米の生産管理、販売戦略を一手に担う「みやぎ米推進課」を新設し、宮城米全体の底上げを図る。
 同課の橋本和博課長は「18年産はデビュー年ということもあり注目された。2年目は定着できるかどうか大事な年になる」と気を引き締めた。

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