「ササニシキ」「ひとめぼれ」に続く、新たな宮城県産米のエースが登場した。次期主力品種「東北210号」の新名称が23日、仙台藩祖伊達政宗をモチーフにした「だて正夢(まさゆめ)」に決定。農業関係者らは新たな宮城ブランドの誕生を歓迎し、試食会でそのふくよかな味わいに期待を膨らませた。
仙台市青葉区のホテルであった名称発表会。生産者や農協、流通関係者ら150人を前に、村井嘉浩知事と女優の朝海ひかるさんが新名称を公表すると、会場は大きな拍手に包まれた。朝海さんは「一度聞いたら忘れられないインパクトがある」と好印象を述べた。
「正夢」には、東日本大震災からの復興が実現するようにとの思いも込められた。生みの親であるコピーライター谷山雅計(まさかず)氏は県内の生産者に会い、長い歴史も学びながら新たなコメのイメージを膨らませた。
谷山氏は「今はブランド米の戦国時代。『だて正夢』に食卓の天下を取ってもらいたい」と力を込める。新たな県産米に注目してきた流通、観光業者からも、新名称への評判は上々だ。
みやぎ生協の砂金亜紀子理事は「平仮名の『だて』が優しい印象を与える。買ってみようと思う主婦も増えるのではないか」と予想。県ホテル旅館生活衛生同業組合の佐藤勘三郎理事長は「海外の観光客にもアピールできる。『だて正夢』を生かした料理を出したい」との考えを示した。
国内のブランド米市場はゆめぴりか(北海道)、つや姫(山形県)など各地が独自品種を投入し、覇権争いが激化している。
コメ卸大手、木徳神糧(東京)の三沢正博専務は「生誕450年の伊達政宗と結びつけた発想は素晴らしい」と評価し、「多くの銘柄が数年後には姿を消すとの声もあるほど競争は厳しい。総合力で勝負してほしい」とエールを送った。
2018年の本格販売開始に向け、今秋にはロゴマークデザインが決まる。県農協中央会の石川寿一会長は「新しい品種の消費を地元で増やし、しっかりと支える。自信を持って消費地への販路を広げていく」と抱負を語った。