<ふるさと納税>制度拡充で東北へ寄付急増

出身地など応援したい自治体に寄付すると税金が軽減される「ふるさと納税」をめぐり、東北の自治体で4月以降、寄付の申し込みが急増している。本年度から の制度拡充で減税額の上限が約2倍に引き上げられ、サラリーマンの確定申告が不要になるなど手続きを簡素化した効果が早くも現れた形だ。ただ、寄付の返礼 をしていない自治体には変化がみられず、明暗が出ている。
サクランボの高級品「佐藤錦」やラ・フランスなどの返礼品が人気の東根市では1~15日の申し込みが2704件と、3月の2095件を既に上回った。市の担当者は「品ぞろえを増やしたこともあるが、制度拡充の影響が大きい」と説明する。
天童市は充実した返礼品で全国トップクラスの人気がある。本年度分を対象とした2月27日~4月15日の申請は3万4549件と桁違いの多さ。このうち、 新制度適用を当て込んだとみられる4月以降の申請が1万7186件と約半数を占める。3月までに申し込んだ人も、4月以降に納付する例があるという。
石巻市でも3月に1085件だった申し込みが、4月の半月で1355件に達した。海産物などの返礼品や東日本大震災の被災地として注目されているのに加え、担当者は「新制度が始まり、問い合わせが増えている」と手応えを口にする。
制度の拡充と魅力的な返礼品の相乗効果で寄付の申し出が相次いでいる自治体がある一方、返礼品を用意していない自治体は動きに乏しい。
仙台市は前年度に月平均13件の申し込みがあり、4月1~16日も4件にとどまる。以前は市街地観光バス「るーぷる仙台」の1日乗車券を返礼品としていたが、東日本大震災後に中止した。担当者は「返礼の再開は将来的な検討課題だ」と言う。
ふるさと納税は見返りを求めない応援が本来の趣旨だが、返礼品に高額の商品を用意するなど競争過熱の兆しもあり、総務省は「良識ある対応」を自治体に求めている。

[ふ るさと納税]任意の都道府県や市町村に寄付すると、2千円の自己負担を除き、住民税や所得税が減額される仕組み。都会への税収偏在の是正と地方の税収確保 を目的に2008年に始まった。東日本大震災の被災地に全国から寄付が集まるなどの効果があった一方、制度の仕組み上、寄付者の住所がある自治体の税収が 減る問題もある。

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