宮城県多賀城市の本年度のふるさと納税が好調だ。12月に入って納税(寄付)額が10億円を突破し、2016年度の3億7000万円を既に大きく上回っている。国が過剰な返礼品の自粛を求める通知を出す中、従来通り寄付額の5割を返礼品に当て、人気の家電製品などを扱ったことが原因らしい。市は「地域経済の活性化に不可欠」として現行のまま続ける考えだ。
多賀城市のふるさと納税は4月から好調が続き、11月末で前年同期比4.5倍の8億7000万円になり、ほくほく顔だ。寄付者をエリア別でみると、関東50%、東海・近畿25%。県内10%という。
定番人気はローストビーフや蜂蜜だが、寄付額の過半数を占めたのが市内に工場があるソニーの家電製品。寄付額によって、テレビやブルーレイディスクレコーダー、デジタルカメラなどが返礼品としてもらえるとあって人気が沸騰。現在は応募が殺到し品切れが出ているほどだ。
寄付急増について、市の柴田吉博管財課長は「利用者から4月に返礼品として家電製品を続けるのか多数問い合わせがあった。中止を懸念した駆け込み需要が原因ではないか」と語る。
総務省は、4月以降、返礼品の調達額を寄付額の3割以下とし、家電製品などの自粛を自治体に求めている。対応する自治体が出てくる中、8月に総務相が高市早苗氏から野田聖子氏に交代し、要請を緩和するような発言をしたことから流れが変化。柴田課長は「ほかの自治体では、調達額をいったん3割に下げながら5割に戻した自治体もある」と内情を語る。
多賀城市は3回の通達を受けたが変更しなかった。鈴木明広副市長は「総務省通知への対応を考えているうちに大臣が変わり、そのまま続けている。ふるさと納税は貴重な収入源。法的な要請でない限り、今後も現行のまま続ける」と大盤振る舞いの構えだ。