<まひ性貝毒>岩手でホタテ出荷規制続発の異常事態 岩手県南部に集中「理由分からぬ」

岩手県漁連は22日、国の規制値を超えるまひ性貝毒が検出されたとして、大船渡湾東部海域産のホタテガイの出荷を自主規制すると発表した。県沿岸部では春先から貝毒による出荷規制が相次ぎ、12ある海域の半分が対象となる異常事態だ。

 出荷を規制しているのは大船渡、陸前高田、釜石の3市に面する6海域で、県南部に集中する。釜石湾海域は3月6日以降、規制が続いている。

 県水産技術センター(釜石市)によると、まひ性貝毒はホタテ、カキなど二枚貝が毒素を持つ植物プランクトンを体内に蓄積することで発生する。春から夏にかけてプランクトンの毒素が増えるとされる。

 週1回の検査で3週連続国の規制値を下回れば出荷を再開するが、規制海域では数値改善の兆しがうかがえないという。

 同センターの久慈康支副所長は「貝毒が県南部に集中している理由は見当が付かない。東日本大震災が何らかの形で影響しているのかどうかも分からない」と困惑する。

 県漁連によると、ホタテが不漁だった昨年でも5月下旬(21~31日)の出荷量は約50トンを確保できた。しかし本年同期は、約12トンにとどまる見通しだ。

 岩手県山田町では4月末、ホタテなどを味わう恒例の「三陸山田カキ(活気)まつり」が急きょ中止になった。祭り関係者は「県南部海域で貝毒の検出が相次いでおり、万が一の事態を考慮した」と話す。

 県漁連は「バーベキューでも人気のホタテは夏場に向けて需要が増えていく。一刻も早く出荷を再開したい」と気をもんでいる。

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