アイリスオーヤマがテレビ事業に参入することが4日、分かった。国内で22日、高画質の4K対応テレビなど7機種のテスト販売を始める。同社の従来製品は「白物家電」と呼ばれる生活に密着した家電が中心で、音響や映像向けの製品を主とする「黒物家電」を販売するのは初めて。2020年東京五輪に向けた買い替え需要を狙い、来年にも本格参入する。
22日に発売するのは同社の液晶テレビの独自ブランド「LUCA(ルカ)」で、4K対応4機種(43~65型)、フルハイビジョン対応2機種(40、43型)、ハイビジョン対応1機種(32型)をそろえた。
店頭価格は32型のハイビジョン対応で4万円程度、最も大型で高性能な4K対応は14万円程度を見込む。大手電機メーカーより約3割安く、家電量販店のプライベートブランドや中韓メーカーと競合する。
開発や設計、デザインをアイリスが担い、製造は中国メーカーに委託する。インターネット通販の他、全国のホームセンターでも取り扱う。初年度の販売目標は3万台で、19年度以降は数十万台を目指す。
アイリスは09年に家電事業に参入。発光ダイオード照明や炊飯器に加え、大型白物家電ではエアコンを手掛ける。今年1月発表の中長期計画で22年のグループ売上高1兆円を目標に掲げ、成長に向けた新たなカテゴリーとして黒物家電への進出を決めた。
同社は液晶テレビのテスト販売で市場の反応を見極め、来年に同社が「なるほど家電」と呼ぶ他社製品にはない独自機能を搭載した新商品を投入する予定だ。
テレビの買い替え時期は購入から約10年後とされる。今年12月に始まる4K放送や東京五輪を控え、11年の地上デジタル放送への移行時に購入した層を中心に、買い替えが需要が高まりつつある。