<アイリスオーヤマ>白物家電に本格参入

アイリスオーヤマは13日、同社初の大型白物家電となるエアコンを28日に発売すると発表した。冷蔵庫や洗濯機の開発も進め、白物家電事業に本格参入する。同事業は東芝など国内大手電機メーカーの撤退・縮小が相次ぐ一方、機能の高付加価値化や中・小型製品の登場で国内市場は堅調に推移する。アイリスは独自の製品開発で新たな需要の掘り起こしを狙う。
発売するエアコン4機種は6畳、10畳向けで大型タイプはない。必要性の高い機能に絞り、最大の売りは外出先からでも操作できるWi-Fi(ワイファイ)機能。価格は6万9800~9万9800円(税別)。機能が近い他社製品の3分の2程度に抑えた。
同社は13日、東京で発表会を開き、家電事業部の石垣達也統括事業部長は「家庭用品メーカーとして培った目線を家電に生かしたい」と強調した。
2017年12月期の家電事業の売上高は全体の約5割となる730億円を予想。今後、単身や夫婦のみといった少人数世帯をターゲットに中・小型で値頃感のある製品を投入する方針。
日本の「お家芸」と呼ばれた白物家電を巡っては、先駆者だった東芝が中国のメーカーに事業を売却。シャープも台湾企業の傘下に入り、衰退ムードが漂う。
大手メーカーの製品は4人世帯の想定が主流だ。新たな機能の付加を追求し、多機能化と高価格化が進む。ある老舗大手メーカーの担当者は「今後も高機能で付加価値の高い製品の種類を増やす。ターゲットを変えた製品開発は考えていない」と話す。
家電市場は変革期にあると言われ、国内では中小メーカーが独自性の高いトースターや炊飯器を開発し、市場を活気づかせる。
日本電機工業会によると、16年度の白物家電の国内出荷額は、前年度比2.1%増の2兆2948億円が見込まれる。17年度も0.4%増の見通しだ。
アイリスは今回、大手の間隙(かんげき)を突く形で白物家電に本格参入した。家庭用品メーカーならではの発想で、自由な製品開発ができる強みを生かしていく。
同社の事業展望について、宮城県内の家電量販店の担当者は「今の消費者はメーカーのブランド力ではなく、使い勝手の良さなどを重視する。ニーズを反映して、バラエティーに富んだ商品をどれだけ提供できるかどうかに懸かっている」と話す。

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